近山スクールの本
前回ご紹介した近山スクール東京の講義内容が本になりました。
僕も受講生の一人として、岡崎シロアリ技研の神谷さんの「泣くな!シロアリ ─ 生き物と共生する家」という講座に対して感想文を寄せています。
神谷さんの話の要点を自分なりにまとめると概ね以下のようになります。
- シロアリは分解者として自然界で無くてはならない存在
- シロアリという生き物は一匹一匹ではなく集団として考える
- 一匹のシロアリが殺虫剤の付いた木をかじって死んでも、集団としては確実に喰い進んでいく
- なので、シロアリが来ないようにとあらかじめ薬をまいても無駄
- 人が住む家だから、シロアリがきたら最小限の薬剤を使って効果的な駆除をする
- 全体を消毒するという発想はばかげている
- 定期的にチェックし発見したら駆除するという考え方が大切
- そのために床下などメンテナンスがしやすい家づくりをする
いわゆる「シロアリ業者」としては薬剤を大量に使えば売り上げも上がって儲かるはずですが、神谷さんの場合、住む人の健康のことや自然界でのシロアリの役割までも考えて、家を守るために必要最小限の介入をするということを徹底しています。
そのためシロアリ調査は有料だそうです。タダより高いものはないといいますが、無料で調査するということは大量に薬をまいてそれなりの金額を回収しないと成り立たないビジネスモデルなのでしょう。
21世紀に入って環境問題が大きく取り上げられていますが、これは人間が自然をコントロールしようした結果、思わぬ反動が跳ね返ってきたということです。
しかし、だからといって文明を放棄して過去の時代に戻ることはできないですから、「必要最小限の介入」で自然をコントロールする知恵こそが次の時代の技術になっていくのだと思います。
このような考え方はシロアリだけでなく建築環境においても全く同じで、この本の中でも別の章で武蔵工業大学の宿谷先生の話がとても参考になります。
もし興味があれば、この本は近山スクール東京のホームページから購入することができます。
神谷さんのシロアリの話のほか、山の話、木の話、木構造、建築環境、木造の防火、家づくりのあり方など、テーマは近山スクールの講座の中から過不足無く取り上げられています。
山に働くひとから、家を作ろうと思っている方まで、家づくりにかかわるすべての人にお勧めです。
